研修講座のご案内
第26回夏期研修講座のまとめ
2017年09月05日(火)更新
特別支援教育の視点から考える支援のあり方
はじめに
晩夏の候、胆振管内教職員の皆様方には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。また、普段より胆振教育研究所の研究にあたり、多くのご理解とご協力ありがとうございます。
さて、本教育研究所では、胆振管内の教職員の研修への寄与と、教職員の資質向上を目的に夏季研修講座を開催し、今年度で26回目を迎えました。これまで、「演劇指導」、「合唱指導」、昨年度は「絵画指導」と普段学ぶことが難しい実技系の講座を開催いたしました。今年度は、現場の先生方のニーズを踏まえ、「指導法」の中でも特に通常学級の学級経営において、特別に支援の必要な児童生徒への「指導法」を学習する講座として、開催する運びとなりました。
講師には、北海道伊達高等養護学校 立田 江利 氏をお招きし、「特別支援教育の視点から考える支援のあり方」というテーマで講座を行っていただきました。
以下は、講座の内容をまとめたものです。少しでも多くの先生方にご活用いただけると幸いです。
講師
北海道伊達高等養護学校 立田 江利 氏
研修講座の様子
夏休みに入り暑さが少し和らいできたころ、胆振各地から29名もの先生方が参加してくださり、開催することができました。講座は三部構成で行われ、3時間の予定でしたが、参加された先生方も、本教育研究所所員にとっても興味関心が高い内容となりました。
第一部では、「障害の理解から支援を考える」ということで、発達障害の基本的なおさえや様々な支援の在り方についてお話いただきました。普段の言葉かけを意識することや特別に支援が必要な児童生徒のための教材などを学習しました。特に心理的な安定を促す「鉛筆キャップ」などの品があることには驚きました。
第二部では、「動きから支援を考える」ということで、「ブレインジム 入門編」を実際に体験しながら学ぶことができました。参加者が持参した、「水」がどのように使われるのか関心が高いところでしたが、意識して「飲む」ことの大切さが印象的でした。
第三部では、「疑似体験や経験から支援を考える」ということで、児童生徒がどのように困っているのか、どのような声かけで混乱してしまうのかなどを疑似体験し、何が原因かを意見交流することができました。特に、ひらがなで書かれた文章がどうして読みにくいのか考える体験から、支援のあり方を考えるところが印象に残っています。
児童生徒との普段のかかわり方について、考えさせられた3時間でした。この講座で学んだことが、2学期の学校生活で生かされていくことを願っています。
参加者の声
- アセスメントを支援に生かす視点を具体例を交えて教えていただき勉強になりました。ブレインジムも学校で取り組んでみたいと思います。疑似体験では、自身の指導を見直すことができました。学んだことを2学期からの指導に役立てたいと思います。ありがとうございました。
- それぞれの障害の特性を知ることができよかったです。これからも、今までと違った視点から考えるとこともできればと思います。また、最後の講座では、疑似体験による障害をもった人の困り感を感じることができ今後の指導を考えていくときの材料になりそうでよかったです。
- 「できない」「困っている」背景を細かく考えて、その原因にあった支援を考えることの大切さをあらためて感じました。考えているつもりでも見過ごしてしまうことが多いので日々の指導を見直すきっかけになりました。ブレインジムは少しの時間で取り組めるので、勉強前に少しやるだけでも、ちがうのかなあと思いました。疑似体験は子どもの気持ちがよくわかりました。教師はあまりあれこれ言わないほうがいいんですね。
- 子どもたちに対する多様な見方があらためて必要なことがわかりました。子どもたちができないわからないときにいろいろな角度からアプローチする必要を感じました。個人的にはブレインジムが楽しかった。
- 発達障害を持つ子どもの特性や、その子への適切な指導について理解できました。ブレインジムについては、早速現場で活用してみようと思います。
- 支援学級担任ですが、すぐに生かせる支援の方法を学びたいと思い参加させていただきました。ブレインジムは子どもの動き、特徴が分かり、改善につながるエクササイズということで早速取り入れていきたいと思います。
- ブレインジムは、初めてしりましたが、簡単な運動でぜひ学級でもやってみたいと思いました。また、発達障害についても、とてもわかりやすいお話で認識を新たにするきっかけになりました。LD疑似体験は、想像以上に難しくて驚きました。そこから、必要な支援を考えることが大切だと思いました。
- 今回研修に参加してみて、発達障害に対する理解が深まりました。子どもによって得意不得意があり、苦手とすることを理解した上で支援する必要があると感じた。特徴、具体的な支援を参考にしながら学級でも実践しようと考えています。実際に体験してみることで、子どもの気持ちを理解することができました。
- 今まで知らなかったこともあり、大変勉強になりました。参考文献もたくさんあったので、この夏季休業中に1冊は読んで理解を深めたり、さらに学びを深めたりしたいと感じました。体験することで、自分が普段子どもと接している中でいかにどうするか(支援方法)よりもなぜと思う気持ちの方が強かったのか、痛感し反省しました。
- 「ふつう」との境界線が明確ではない、ということが刺さりました。つまずきの背景ということを考えようと思いました。疑似体験は面白く、様々な支援を考えるきっかけになりそうな気がした。
- 以前より発達障害の認識が変わってきており、より勉強が必要であると感じている。通常学級内に6%の発達障害がいる中で、学習、授業をしていくためには、特別支援教育の視点からのアプローチが必要となってくる。
- 15~20分でペースを…という事例から本人の気持ちとその子にあった適切な支援があれば、力が付くこと、伸びることを感じました。各学級にいる生徒の顔が何人も浮かんできました。授業づくりの改善向上に努めたいという思いを強くしました。通常学級の中に本日出ていたような例の子がたくさんいます。より一層、特別支援教育の視点から見た学級経営授業づくりが必要になると感じます。疑似体験することで今後の指導に生かせる気づきがありました。
- 立田先生のお話を伺ったことがなかったので、とてもよい機会となりました。特に第二講座で、実際に自分が体験することができたのがとてもよかったです。さらに、第三講座で体験することと、そのうえでどういう支援をすればよいか考えることは、自分だけでなく、普通学級の先生方にも体験してもらいたいと思いました。
- 最新の情報が知れてよかった。ブレインジムは普通の学習にも取り入れやすいと思ったのでやってみたい。心理疑似体験では、普段良かれと思って声かけていることが、子どもにたくさんストレスをかけている場面もあるとあらためて感じ、これからの言葉かけを気を付けたいと思います。
- 子どもが普段取り組んでいる誤りを分析して支援の方策を考えるというお花足をいただきました。2学期以降の自分の実践に還元していきたいと考えています。子どもの困り感を実感しました。自分が子どもに負荷をかけないように注意したいと思いました。
- 謝り分析からどのようなサポートが必要か考える過程が大変参考になりました。ASD,ADHDの特徴とともに支援について知ることができ参考になりましたが、もう少し具体的支援について知りたかったです。
- ブレインジムははじめて触れたので、今後に役立てたいと思います。また、心理疑似体験プログラムは、支援の方法を考えるためのよい刺激となりました。
- 合理的配慮とユニバーサルデザインとの違いやあり方がなるほどでした。合理的配慮はできることあるなとこれからの支援を考える楽しみにもなりました。ブレインジムは勉強になりました。自分の受け持っている児童が体の動きがぎこちないので、なにか取り入れてみようと思います。特に筆圧が強く力が入るので手首や腕の力が抜けるようなものを調べてみます。
- 通常学級では、学ばされなければならないカリキュラムがある中で、支援が必要な子への手立ても必要になっており担任の先生方は大変だと思います。しかし、発達障害かどうかの境目はスペクトラムで、そういう支援がすべての子にとってあるといいのだと思います。ユニバーサルデザインと合理的配慮の両方が必要だと改めて感じました。体験が多く、とても分かりやすかったです。
- 特別支援教育からみた関わり方について、大変参考になりました。ただ、通常学級に支援対象の子がいた場合に、学級のマネジメントをどうしていけばいいのかというところに期待していたので、そこを聞きたかった。
- 発達特性と発達障害の定義の違いなど、知らないことが多く勉強になりました。個に応じた指導、支援のためには、背景を捉えてその方法を考えなくしてはいけないことや、変化(成長)していく生徒の変容にも対応していかなくてはいけないことを再認識できました。
- 現担任クラスでも支援を必要と考える生徒が数名おり、特にADHDの基本的な支援にあった、「くどくどしからない」「ほめるときはクラスの中で、叱るときは個別で」というところの実践をすすめていきたい。これからの教育の中でも参考になるお話をありがとうございました。