研修講座のご案内
第28回 夏季研修講座のまとめ
2018年09月05日(水)更新
不登校へのケース別対策と環境づくり
はじめに
初秋の候、胆振管内教職員の皆様方には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。また、平素より胆振教育研究所の研究にあたり、多くのご理解とご協力をありがとうございます。
本教育研究所では、教職員の研修への寄与と、資質向上を目的に夏季研修講座を開催し、今年度で28回目を迎えました。これまで、「合唱指導」、「絵画指導」、「特別支援教育」などの講座を開催してまいりました。今年度は、現場の先生方のニーズを踏まえ、不登校や登校しぶりへの対応策や未然防止の視点から学級経営について考えることを目的とした講座を開催しました。
講師には、公立学校スクールカウンセラー 尾野 裕子 氏をお招きし、「不登校へのケース別対策と環境づくり」というテーマで講座を行っていただきました。
以下は、講座の内容をまとめたものです。少しでも多くの先生方にご活用いただけると幸いです。
講師
公立学校スクールカウンセラー 尾野 裕子 氏
研修講座の様子
夏休みに入り日に日に暑さが増してきたころでしたが、胆振各地から25名の先生方が参加してくださり、開催することができました。講座は二部構成で行われ、2時間の予定でしたが、参加された先生方も、本教育研究所所員にとっても興味関心が高い内容となりました。
第一部では、「不登校の理解と対応」ということで、発達面や対人不安からなる不登校への対応ついて具体的な事例をもとにお話していただきました。場面緘黙の強い生徒へは、息をはいたり口を動かしたりすることを行うフェンディング法を用いた対応や、できるところから始めるスモールステップの視点・環境調整などかわりやすく丁寧に教えていただきました。
第二部では、ワーク研修を行い、最初に「リソース探し」を行いました。ある仮定の事例からその子のリソース(その子の資源・資質・能力・長所)を見、それをコンプリメント(ほめる・認める)する活動をグループごとに交流しました。また、不登校の未然防止活動として似顔絵コンプリメントを体験しました。自分の似顔絵と自分の頑張っていることを記入しグループ内でコンプリメントを書き込みます。自分に対するたくさんのコンプリメントを見ることで自己肯定感が生まれ、温かい気持ちになれました。
不登校傾向の児童生徒、または保護者との関わり方や対応・環境づくりについて、とても勉強になった2時間でした。この講座で学んだことが、2学期の学校生活で生かされていくことを願っています。
参加者の声
- 事例と対応のお話から自校で取り組めそうなアイデアをたくさんいただくことができました。不登校気味の子ども、対応に配慮が必要な子どもはたくさんいます。スクールカウンセラーの配置が足りない状況の中教員がこのような研修を受けることはとても意味のあることだと思います。ありがとうございました。
- 講話を通して自分の担任している子や学校全体の中で2学期から実践したいことを得ることができました。また、実際に体験させてもらうことでその意義がよくわかりました。早速活用させていただき子どもたちが安心できる、自信がもてる学級づくりをしたいです。
- 具体的な事例でもって講話を進めていただいたのでとても分かりやすかったです。また未然防止という視点が勤務校では大切なので2つの方策から改めて「認める」ないしは「ほめる」ことが肝要と感じることができました。ありがとうございました。
- 道研にいたときはよくこの手の研修を運営していましたが、学校に戻ったときにどれだけ自分ができているかは疑問です。このことを反省することができました。良かったです。
- 登校しぶり、不登校がどのように改善していくか、具体的なケースで知ることができた。子どもをたくさんほめて、エネルギーを満たせてあげたいと思う。
- 2時間あっという間に過ぎました。先生のお話から説明する絵練習、頑張りを視覚的に分かりやすくなど色々な事が学べました。
- 各学校で抱えている不登校・登校しぶりについて自分の立場で何ができるのか、チームとして何ができるのかを改めて考えることができた。子どもを多面的に見ること、肯定的に捉えることが大切なんだと思いました。ことばの教室はそのような立場であっていいと思いました。
- 「解決に至ってない事例もたくさんあります」的な尾野先生の話を聞いて親近感をもって話を聞くことができました。褒められることの嬉しさを体験しぜひ言葉に出して子どもたちに還元したいと思いました。
- SCと関わる中で改善できることがたくさんあることを学びました。身近にある事例でしたので大変参考になりました。
- 具体的事例での対応が参考になりました。その対応に役立つワークも今後に役立ちます。似顔絵コンプリメントぜひ使ってみます。wowwは学級づくりに役立つと思いました。
- ワークショップの研修が良かったです。講話も事例が具体的でイメージしやすかったです。講師の先生が実際に実践する様子が見られてより具体的なイメージがもてました。とても良い講座でした。
- 不登校という身近で大きな問題について多様なケースを参考にしながら自校のケースと合せて考えることができました。特にスモールステップで子どもに無理をさせずに対応していくことが大事であると学ぶことができました。ほめることの大切さ、影響を改めて感じ、自校の子どもたちをたくさんほめてあげようと思いました。
- 色々なケースを紹介していただいたり、ワークを準備していただいたりしてありがたかったです。特にワークでは自分で実際に体験することで生徒としての感じ方、また教師としての関わり方の2つを学ばせていただきました。普段から生徒をほめたいと思っていますが自分の見方が全然足りないんだなと感じました。子どもの良いところを見つけたり話したりするのは良いですね。たくさんの目で見ると自分の見えてない子どもの良さが出てきます。他の先生方とコミュニケーションをとって子どもにとって良い学級環境をつくっていきたいと思いました。尾野先生ありがとうございました。
- 事例が具体的でわかりやすく学校でも活用できるものだった。ワーク1・2も子どもをどう見ていくか、という視点で参考になった。「ほめられること」は気持ちのいいこと。子どもたちを気持ちよく学校に来させるために何ができるか考えていきたいと改めて思った。「ほめられた」研修は初めてでした。ありがとうございました。
- ほめることはとても大切なことだと再認識しました。生徒をほめることを忘れずに授業を行いたいと思います。今日は本当にありがとうございました。
- 事例を基に児童生徒にどのような対応をすればよいか、またどういう関係機関と連携していけばよいかがわかりやすかったです。褒める=認めることで子どもの自己有用感につながることの大切さを再認識したい。