研修講座のご案内
令和元年度 第30回冬季研修講座のまとめ
2020年02月26日(水)更新
通常学級における特別支援教育
はじめに
厳冬の候、胆振管内教職員の皆様方には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。また、平素より胆振教育研究所の研究にあたり、多くのご理解とご協力をありがとうございます。
本教育研究所では、教職員の研修への寄与と、資質向上を目的に冬季研修講座を開催してきました。今回は、「通常学級における特別支援教育」というテーマで講座を開催しました。
講師には、江別市立大麻小学校教諭 高杉 祐之 氏 をお招きし、講座を行っていただきました。
以下は、講座の内容をまとめたものです。少しでも多くの先生方にご活用いただけると幸いです。
講師
高杉 祐之 氏 (江別市立大麻小学校教諭)
北海道千歳市生まれの千歳育ち。石狩管内において、通常学級の担任を21年間受けもつ。
6年目に担任した1年生に発達障害をもつ児童が多数在籍し、そこで特別支援教育について学び始める。2017年3月には、ワシントンに特別支援教育の視察に行く。特別支援教育コーディネーター歴14年。
共著
- 『頭と体がフル回転!算数ペーパーチャレラン 3・4年』(明治図書)
- 『教室熱中!難問1問選択システム5年』(明治図書)
- 『「参加型板書」で集団思考を深める3 算数科編』(明治図書)
- 『特別支援教育 重要用語の基礎知識』(学芸みらい社)
研修講座の様子
新しい年を迎え、寒さが厳しい頃でしたが、胆振各地、札幌市や八雲町などの遠方からも先生方が参加してくださり、参加者計62名という大人数で、開催することができました。参加された先生方にとっても、本教育研究所所員にとっても大変貴重な内容となりました。
講師である高杉先生の軽妙なトークと、スピーディーな展開に、80分という時間があっという間に感じられるような講座となりました。講座の内容は特別支援教育、特に通常学級に在籍する子どもへの対応の仕方などがメインとなっていました。高杉先生は脳科学や心理学などの科学的根拠に基づく対応の方法を、具体的な実践例などを交えながら説明してくださりました。また、要所で参加者同士での交流や、実習も多く取り入れられており、終始活気のある講座となりました。
不適応行動に対して、間違った意味づけを行わないための「ポジティブノーリアクション、子どもを授業に参加させることで安定を生む」というお話がありました。例えば、忘れ物をした時のための道具を学級に用意する、その子が授業に参加できない原因を明確にし、原因を取り除く必要がある、などの説明をしてくださりました。普段何気なく行っていることや、どうすればよいか分からなかったことが講義を通して納得する事も多くあり「あぁ!なるほど!そうだったのか!」と、思わず言いたくなるような新たな発見や気付きが数多くありました。数多くの先生方が、「次回も講座を受講したい!」と、感想にも書いてくださるほどの、大盛況となりました。
とても有意義で参考になる講座でした。この講座で学んだことが、これからの各校での様々な活動で生かされていくことを願っています。


参加者の声
- 自閉傾向の子の対応に苦慮しています。ADHDの子には楽しさと緊張、ASDの子には安心、これがストン!と自分の中で落ちました。すごくスッキリしました。なるほど!でした。他にも「そういうことなんだ!」と、心の中で手を打っていました。楽しくそれこそドーパミンがたくさん出ました。とても素晴らしい講座だったと思います。近隣でこれほど面白く、ためになる講座を受けられるなんて幸せです!次回高杉先生の講座があれば、必ず参加したいと思います!
- あっという間の80分でした。自分のこれまでの経験や、出会った子どもたちと重なる部分が多く、納得のいく内容でした。もっと話が聞きたかったです。自分が1番に気を付けるべきことは話が長いことだと思いました…。楽しく参加できて、分かる授業づくりと、環境づくりが重要なのは理解していて、やってきたつもりです。しかし、教育には上限がないので、どうやってコンパクトに仕事をしていくかも大切です。学校として、忘れ物をしたときの用具をそろえているのは素晴らしいと思いました。個人ではなく組織として対応していくことが大切だと思いました。
- 今まで自分のクラスの子で不適応をおこしていた子を思い浮かべながらお話を聞いていました。その時は、たまたま効果があったと思っていましたが、今日のお話を聞いて、なぜそれは効果があったのか、あるいは効果がなかったのかが少しわかった気がしました。教師がこのようなことを知ったうえで、対応することで、戦略的に子どもたちと関わることができ、それがその子と周りの子と関わる人達の成長、喜び、幸せにつながるのだと思いました。今日のお話でさらに詳しく知りたいことがたくさんありましたので、学びを深めつつ、実践を重ねて行きたいと思います。ありがとうございました。
- 本日はありがとうございました。まず、高杉先生の話のテンポが圧倒的によくて、本当にずっと飽きずに聴くことができました。私自身の学級にピッタリとはまる子がいるので、講座の内容を生かして実践したいと思います。一つは、リズム・テンポを鍛える。1.5倍のやりとりで進められるように鍛えていきます。二つ目は、今回の内容が活きるように具体的な場面を思い浮かべ、声かけや対応を実際に練習します。明日につながる講座ありがとうございました。
- 現在ASD、ADHD、SLDの児童を受け持ち、環境の調整の大きさを日々実感していますが、先生の講座を聞いて、ほんの少しの工夫でできる(教師の対応や、身近な物)ことがわかりました。応用行動分析については、具体的な事例を交えた分かりやすい解説がありがたかったです。大変参考になりました。ありがとうございました。
- いつか脳科学と教育の実践が結びつく…、そういう日が来るのだろうなぁ…とは思っていました。勉強不足で、もうそういう時が来ていると、先生の話を聞いて思いました。やはり私たち教師が、きちんと知識を持って子どもと関わること、子ども目線で取り組んでいくことが大切なことだと改めて思いましたし、「自分が子どもをダメにしている」などという悲しいことが起こらないよう、自分を高めていきたいと思います。先生の学校の公開授業観に行きます。すばらしい話をありがとうございました。
- 同じ生徒に対して、上手くいく先生と上手くいかない先生の違いって何だろう、何が違って生徒が落ち着いたり、落ち着かなかったりするのだろうとずっと思っていました。今日のお話を聞いて答えが分かりました。高杉先生がおっしゃっていたように、同じ学校の先生にそれを指摘するのは難しいですが、とりあえず今日の資料を回覧して、気付いてくれることを願います。大変勉強になりました。ありがとうございました。
- 今日の話を聞いて、反省させられる部分がたくさんありました。特に自分の気持ちに余裕がなくなった時に叱る(大声で)ことが多くなりがちなので、今日学んだことをもう一度考えて3学期以降の実践につなげていきたいです。一人一人の生徒について、どのような関わり方が効果あるかを常に考えながらやっていき、一人でも多くの生徒がより良い方向に成長できるようにしたいです。後は褒め上手になれるように努力したいです。
- 科学的根拠(ホルモンや脳科学のことなど)がある話と、具体例をセットで示してもらい理解しやすかったです。もっと10年以内の若手教員がたくさん参加できるといいなと思いました。自分が指導で使っていた技術が無意識(意味を考えず)になっていたので、改めて何故その方法をとっているのかを見直して、より子どものためになる指導をしたいと思いました。
今後に向けて(次回受講したい講座)
- 通常学級での今回のような具体的な内容に関わる講座を希望します。また、今回のような内容はとても大事なので次回も高杉先生の話を聞きたいです。
- 特別支援の観点を活かしたケース・スタディ~その場で実際に対応してみよう!~
- 学級活動(学級会)
- プログラミング「スクラッチ」を教科、総合の発表に使う方法
- 今日の講座をもっと詳しく聞きたいです。
- 外国語の指導
- 応用行動分析
- 認知行動療法
- 動機づけ面接
- また高杉先生の別なテーマでのお話を聞きたいです。
- 今日のように実際に教壇に立っている方のお話を聞きたいです。